無添加の漬物でつなぐ、家族の輪。茨城県筑西市 菜香や

無添加の漬物専門店 茨城県筑西市 菜香や

茨城県と栃木県の県境に接する筑西市。水戸から車でおよそ1時間の場所にある。茨城県内でも有数の農作が盛んな街で、お米や果樹などが有名。

今回、お話を伺ったのは、筑西市の有限会社菜香や 代表取締役 遠藤記生(えんどうのりお)さんだ。

遠藤さんは筑西市で無添加のお漬物を作るお店「菜香や」を経営されている。近年、発酵食品への関心の高まりから、ぬか漬けに注目され、県内のみならず全国に向けて、ぬか漬け・ぬか床の良さを広めるために、精力的に活動されている。
その原動力と、漬物の魅力などについてお話を伺いました。

母から教わったぬか漬け・漬物作り

ー自己紹介をお願いします。

有限会社菜香や 代表取締役の遠藤記生(えんどうのりお)と申します。私はこの有限会社菜香やと言う会社は21年前、私が27歳の時に母親と立ち上げました。

それまではコンピュータ会社に勤めていて、コンピュータに関係するお仕事をしていました。

父方の家は元々呉服業をやっていて、将来は何か商売をしたいなとは思っていたんです。ですので、高校は商業科にいきました。でも、若い頃って自分の好きなこと、興味のあることに行きがちじゃないですか。なので自分も興味のあったコンピュータの世界に入り込んだんですね。

ー漬物店を始めようと考えたきっかけは何かあったんでしょうか。

コンピュータ会社に勤めている頃、私の母親が作る漬物が非常に美味しいと評判になってきていて。と言うのも、母は農家の生まれで、近所の農家さんから規格外で余った野菜をもらっていたんです。それを漬物にしていて、ただ貰ってばかりでは悪いってことで、漬物にして農家さんに返してたんです。それが次第に評判になって。農家さんが食べる専用に綺麗な野菜を持って来て「漬けて欲しい」っていう様になっていって。地域の土産物店や物産店に置く様になっていったんです。

そんな状況で、母一人で片手間にやっていたから、漬ける時間が夜中になるまでやっていたりして、かなり忙しそうだったんです。それをみて自分はこれまで何か商売をしたいって考えていたってことと、コンピュータの会社に行ってて、インターネットとかの知識や経験を生かして、商品をPRしたり多くの人に知ってもらえたらいいなあと言うところがきっかけですね。

ー中でもぬか漬けに力を入れられてますよね、なぜぬか漬けに着目されたのでしょうか。

始めたばかりの頃から、物産展なんかに出店していて。その時は浅漬けがメインだったんですね。お客様にうちで漬けた無添加の浅漬けを説明しながら紹介していました。それなりに人気があったんですが、これだ!と言う手応えを感じにくくなっていったんですね。
と言うのも、最初は茨城物産展と言う様なイベントに出店をしていて、それが人気で東京や地方の百貨店など、全国に行く様になってたんですね。茨城で茨城の漬物として売るのは売れていくんですが、全国にいくと各地に特色のある漬物がありますよね。例えば京都の千枚漬け、長野の野沢菜漬けとか。それらに埋もれてしまうし、勝てない様な状況があったんです。

そこで気づいたのは、やっぱりブランド力って言うのが必要なんだ、思ったんです。いくら製法にこだわって美味しい物を作っても、茨城・菜香やと言うブランドが弱い部分があって。どうしたら改善できるかと考えた時に思いついたのがぬか漬けだったんです。それがぬか漬けを始めたきっかけですね。

当時、ぬか漬けってどこのお店のをとっても割と特徴がない物が多かったんですね。この茨城のいい土地でやっているので、それを生かしたオンリーワンの商品にしたいと思って始まりました。

ぬか漬けに対するお客様の疑問に応えたい。伝えることの大切さを感じた時間。

ー新型ウイルス感染症の感染拡大による影響はありましたか。

ぎりぎりまで都内での販売スケジュールが入ってまして、ずっと都内にいました。そろそろ自粛が、緊急事態宣言が出ると言う話も聞いてたんですね。日に日にお客さんも減ってきて、それにつれて販売の日程も少なくなってきて。最終的には4月、5月の約2ヶ月半くらいイベントは全てキャンセルになりました。

ずっと私は都内や全国を回ってプロモーション販売に出ていたので、地元でゆっくり仕事をする時間ってあんまりなかったんですね。時間が取れたらやろうと思っていたことをやろうと。というのも、お客さん皆さんが持っていたぬか漬けに対する疑問にきちんと答えること、をやりたかったんです。
イベントがキャンセルになってしまった2ヶ月半の間はずっとパソコンに向かって、ブログを立ち上げて、記事を書いてアップロードする。ってことをしました。記事を読んでいただければ、ぬか漬けに対する疑問を解決できる様な仕組み作りをしていた感じです。

ー今後、生活様式が変わっていく中で考えている対策はありますか?

これからの販売スタイルは、今までの様な物産展は減っていくかなと思っているんです。それに変わって、自分が力を入れているのはネット販売、オンラインショップですね。
ですので、いかにオンラインショップで、わかりやすく、実際に対面販売で説明している様なことをいかに伝えられるか、と言うことを心掛けて、オンラインショップに力をかけているところです。

また、ブログも作りましたが、ブログだけでなく、LINEも併用しながらお客様に対してアピールできる様にしています。
お店のLINEにお友達登録していただいて、ぬか漬に関するキーワード、例えば「きゅうり」「なす」とか「酸っぱい」「苦い」とか、を送信してもらうと自動的にレシピや対処法が返信される様に仕組みを作りました。そこにブログも合わせて掲載して、さらに詳しく説明できる様な仕組みも作りましたね。

気軽に始められる本物の「熟成ぬか床」がイチオシ。

ー菜香やのイチオシの商品を教えてください。

イチオシの商品は、うちで作っているぬか床「熟成ぬか床」がお客様から支持を得ている商品ですね。

ぬか床、ぬか漬けって家庭でできる漬物の中でも、かなりお手入れが大変と言うイメージがありますよね。意外と皆さん1度は挑戦して経験があるんですが大体失敗しているんですよね。それってなぜかと言うと、お手入れ方法がわからないと言うことがあります。
市販で出来上がったぬか床が販売されていて、パッケージも綺麗にできてますが、案外とそこにお手入れ方法が書いてないんですよ。でも、ぬか床はちょっとしたコツがわかればラクになるんです。

かつては、祖母や母親からぬか床を譲ってもらうのと同時に、ぬか床をお手入れする知恵も譲ってもらってたんですよね。でも時代の流れとともに女性が働きに出る様になってその知恵の伝達がうまくいかなくなってしまったんですよね。あとは昔は大家族でお祖父さんお婆さんからお孫さんまでいる様な大家族が普通でしたが、今では核家族化が進んで家族3人、4人という小さな家族が普通になって、漬物の消費量もかなり減ってしまっているんですね。なので、漬けても余ってしまって、食べきれず、美味しく無くなってやめてしまう、って言うのが多いんですよね。

ー材料はどんなものを使っているんでしょうか。

元々添加物を使わない漬物作りをしていましたので、そのためにはやはり美味しい原料じゃないといけないな、と気づいたんですね。茨城県って農作物がすごくたくさん採れる土地柄で、野菜はもちろん、お米も全国でも上位なんですよね。
近隣の農家さんでこだわりのお米を作られている農家さんがいたんです。そこでは有機栽培のミルキークイーンと言う品種のお米を栽培されていて、農家さんからこの米ぬかでやってみないか、と話をいただいたんですね。

最初は米ぬかはお米屋さんからもらってやっていたんですが、米ぬかって産地や品種がわからないんです。全国から集まるお米を精米機にかけるので、米ぬかが混ざってしまう。またぬかも常温で置いておくと酸化してしまって、それが嫌な匂いの原因になってしまったりするんですね。
そこで、品種を限定して、栽培方法も分かっている新鮮な精米したての生ぬかを使ってみたらどうかと思いまして。それでやってみるとすごく甘みがある美味しいぬか漬けができたんですね。ぬかによって味が全く変わるんだなと分かって、いろんな品種の米糠を試したんですね。最終的には一番最初にやったミルキークイーンが本当に美味しかったんです。

ーぬかひとつで変わるとは面白いですね。品種選びには時間がかかったんではないですか

そうですね、大体5年ぐらいやってたかな。
正直、自分でも何度も失敗してるんですよ(笑)。お手入れ忘れちゃったり、美味しくできなかったり。

自分でも失敗した経験を踏まえて、皆さんが簡単にラクにぬか漬けをできるかって言うのを勉強しつつ、試行錯誤の上出来上がったのが、ミルキークイーンの熟成ぬか床と言う商品ですね。

ーぬか以外に使っている材料は?

ぬか床はぬかに対して10%の塩を入れていて。あとはシンプルにしたいと言うことで、昆布と唐辛子を使っています。

と言うのは、ご家庭によって色々とアレンジがあるので、干し椎茸や、みかんの皮とか。それぞれのおうちの味があるので、お店で作るぬか床は本当にシンプルな状態のぬか床にしています。

買ったその日からつけられる様な状態にしているので、本当に気軽にスタートできるキットになっています。

ーお店には漬けたお野菜も販売されていますよね。こちらのおすすめはありますか。

いちばん売れるのは、やはり定番のきゅうりや大根が売れてます。

ですが、ぬか漬けに興味を持ってもらいたいと言う思いから創作ぬか漬けってのをやってます。
例えば、ゆでたまご、エリンギなどですね。中でも人気があるのはアボカドです。若い方にちょっと「おっ?」と思ってもらう様な素材を選んで漬けています。

お客様の中には、ぬか漬けの酸味を利用して、サラダの具にしたり、サンドイッチにしたり。SNS映えする様なアレンジしてくださっている方もいますね。

ー全国を歩いてぬか漬けを販売されていて、お客様の反応はいかがですか。

お客さんってぬか漬けにすごく興味を持っているみたいなんです。なので、ぬか漬けの野菜を買ってくれるんです。
それで買って帰って、2〜3日してまたきてくれるんですよ。よく話をしてみると「美味しかったから自分でも漬けてみたい、作ってみたい」ってことで、今度はぬか床を買っていかれるんですね。その時に、私はぬか床をどうやって手入れしたらいいかとか、簡単にラクにぬか漬けを楽しんでいくかってこともお話しするんです。

ぬか漬けやぬか床の販売もしますが、合わせてぬか漬けやぬか床の作り方や手入れの方法を説明しに行っているのも目的とも言えますね。

やっぱりぬか漬けが美味しくできた、となればお客さんも嬉しいんですよね。また何ヶ月か経って行くとわざわざ「美味しくできたよ」「失敗続きだったのが半年続いてる」とか報告しにきてくれたりするんです。ただ商品を販売するだけじゃなくて、ぬか床を通じてお客さんとコミュニケーションしながら、一体になっている様な感覚が味わえるのも楽しいところだと思います。

菜香やさんの漬物を買って応援!

地球誰もが家族という思いやりを持って、漬物の楽しさや美味しさを伝えたい。

ー今後の夢や目標はありますか。

アナログとデジタルの融合、なんてことはよく言うんですが。アナログな母が作った漬物を、デジタルなインターネットを通じて全国に広めていくことが私の役目だと思っているんです。

これまでぬか漬け教室をやっていたこともあって、何百人と言うぬか床をみてきた経緯もあります。ですので、よくできたぬか床から失敗寸前の様なぬか床まで見てきてます。その経験から皆さんにお伝えできることを伝えていきたい。ぬか床のお父さん、なんて呼んでもらいたいですね。

企業理念が「地球家族」と言う、ちょっと大きな企業理念を20年前に掲げたんです。地球の皆さんは家族ですよと、家族だったら変なものは食べさせないですよね。ですからいいものを作っていこうと思いなんです。まさしくこのぬか漬けが皆さんを家族の様に繋げてくれているんですね。
熟成ぬか床は元々はうちで作ったぬか床の一部をお分けしている商品なんです。なのでこのうちで育てた娘の様なぬか床が皆さんのおうちにお嫁に行って育ててもらっている様な感じなので。

これからもその家族の輪を日本全国、さらに世界に広げていきたいなと、やってみたいなって思っています。

店舗・アクセス

有限会社菜香や
住所:茨城県筑西市下中山595-4
TEL:0296-21-0566
WEB:https://www.na-ka-ya.co.jp
ECサイト:菜香や Online Shop

菜香や 公式サイト

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