筑波山から茨城県の魅力を発信する拠点に。つくば市の古民家カフェ 日升庵

茨城県つくば市 筑波山神社の門前にある古民家カフェ 日升庵(にっしょうあん)

茨城県つくば市。茨城県内最高峰の筑波山の中腹にある、古民家を活用したカフェが今回紹介する日升庵(にっしょうあん)。

店内はどこか懐かしい雰囲気が漂う、ノスタルジーに浸りながら美味しいコーヒーやスイーツ、食事を楽しめる。

今回お話をしてくださったのは、代表の野堀 真哉(のぼり しんや)さんに伺いました。

茨城の本当の魅力を伝えたい。体験型カフェとしてスタート

−自己紹介をお願いします。

お店の名前は日升庵(にっしょうあん)といいまして、私は野堀真哉(のぼり しんや)と申します。華の36歳です(笑)

−お店を始められたきっかけは?

元々私は東京で販売員をやっていたんですね。秋葉原のある家電量販店で生活家電を売ってました。

当時、茨城県は魅力度ランキング最下位を3年連続くらいでとっていたんです。まあ、この記録は今でも更新し続けている素敵な茨城県。でも地元に帰ってきてみると、なんだかんだ言っても茨城って魅力あるところだなと再確認したんですよね。なのでそんな魅力ある茨城の良さを伝えられる様なことがしたいと思ったことがきっかけです。

家電の販売をすると言うことって、誰かが作ったものを売ると言うことですよね。その中で感じたのが、作り手に対する尊敬の気持ち、リスペクトだったり。あとはどんなに良い機能がある商品でも新しいものは誰も見向きもしないんです。でも販売する人がしっかりと商品の良いところを見極めて、考えて、伝える。そうすると自然と売れていく様になるんですね。きちんと伝えていくこと、人に何かを伝えること自体が価値になるなと。

魅力が伝わりにくい茨城県で、その販売員の経験で得た気づきをもとに茨城の魅力を発信する方法を模索していて、対面販売をしていたので、お客さんとお話をしながらできる感じが良いなと思っていました。物販や小売の様な形態も考えましたが、茨城での体験を伝えると言うことを軸に考えた結果、最終的にはカフェのスタイルに落ち着いたと言う感じです。

−なるほど。いろいろある中でカフェに決めた理由はありますか。

旅行とか観光に来られるお客さんのやりたいことって主に3つあると思うんです。

まず1つ目は、地元の食材、地場産品を食べたいということ。2つ目がその場所でしかできない経験、体験をしたい。最後の3つ目は地元の人と話したい。と言うことの3つです。

その3つができる形式がカフェだったんですね。この条件を満たすことって何かと考えて。

それで、開店当初は火鉢でお煎餅の手焼き体験ができるカフェとしてスタートしたんです。開店から2年目くらいまではお煎餅の手焼き体験のお店でした。

お煎餅を焼くのって、結構時間がかかるんですよ。なので、たくさん回さないといけなかったですし。何と言ってもお煎餅はおやつじゃないですか。主役には成れないんですよね。なので利益も全然なくて本当に最初は大変でした。その頃から、食事を出す様になったんです。

−それでハンバーガーを始められたんですね。

そうですね、これまでお茶漬けとかもやったりしてましたけど、今はハンバーガーを出してます。

何か食事のものを出すにしても、やっぱり地元のものを使ったものにしようと思って。周りのお店は蕎麦とか、うどんとか、そう言ったものが多いんですよ。せっかく来ていただいたら、他のお店では食べられないものを出したいと思って、ハンバーガーを出す様になりました。

−この場所でお店を出そうと思った理由はありますか?

正直言うと、つくばじゃなくても良かったんですよ(笑)

と言うのも、元々こう言うことをしようと思ったきっかけが「茨城の魅力を伝えたい、盛り上げたい」ということだったので。

でも、地元に帰ってきたら、常磐線とかつくばエクスプレスとか、自分が高校生の頃から比べるとアクセスが良くなってたんですよね。
あとは筑波山と言ったら茨城県ではシンボルマークだと思いますし、東京から一番近い茨城の観光地ですからね。

なので筑波山に来た方々に、茨城の他の地域の良いところとかを紹介したいと思ったからですね。

−でも、このお店は古民家ですよね。どうしてこんなに雰囲気のいいお店を見つけられたんですか?

たまたま地域の人が集まる飲み会に参加した時に、隣の席に座った方と話をしていて。そうしたら「良いところ知っているから紹介するよ」と言われて。その結果なんだかとんとん拍子決まってたって感じでした。

ここに決めた理由の1つとしては、最初見学に来た時が、夕暮れ時で、この場所から見た夕日がめちゃくちゃ綺麗だったと言うのも決め手でしたね。

−それはすごい偶然と言うか、縁ですね。ではお店の名前の由来を伺えますか。

日升庵ってそれぞれに意味があって。

日って、日曜日の日ですけど、意味としては太陽ですよね。太陽って自然のもの。
升は、一升二升とお米を量る単位だったり、量るための道具の「ます」ですよね。なので、人工的なもの。人の力って言う感じですね。

自然のものと、人が作ったもの。食事とか料理とか、きちんと「はかって」やらないと美味しいものにはならないですしね。

庵はいおりとも読むじゃないですか。庵ってのは人が寄り合うところ、集まるところって言う意味があるので。

それぞれを合わせて日升庵、にっしょうあんって名前にしました。

あとは、裏設定と言うか、自分の名前が「のぼり」って言うのも一つの理由でして。漢字だと野堀ですけど、登ると言う様な意味もあるなと。
全てロゴはわざと横書きにしてあるんですが、縦書きをすると、日升が「昇」と言う字になるんですよ。
地域としても、自分のお店も、自分の名前も(笑)、上を向いて上昇していける様に成れば良いなといった意味もありますね。

新型ウイルス自粛要請期間中、公営駐車場閉鎖で休業も。

−新型ウイルス感染症、感染拡大でのお店への影響はどんなことがありましたか?

筑波山という土地柄、他県からの観光や登山の目的でこられるお客さんが多い地域なんですよね。他県からのお客さんが減ったことと、自粛要請に合わせて市営、県営の駐車場が閉鎖になったんです。

お店の営業は食事のテイクアウトだけにしていたんですが、登山や観光のお客さんが減ったことと合わせて、売り上げも昨年の3割くらいになってしまいました。正直驚いてしまったというところですね。

−自粛要請期間中の対応ってどんなことをされてましたか。

そうですね、自分たちも車を停める場所が限られてしまったのもあって、テイクアウトだけの営業にしていました。

5月のゴールデンウィークの期間は休業にしちゃってました。外に出て誰かと会うわけでもない様な仕事はしていましたけど、お店の営業は県の規制が緩和されるまでの間休業していた様な状況ですね。

−緊急事態宣言が解除されてからのお客さんの反応とか、動きというのはどうですか?

そうですね、解除になってからは少しずつというか、戻ってきてはいるとは思います。どうして観光地なので、天気に左右されてしまう部分はありますけど。

たしかに、ちょっとずつ、気持ちの面でも緩んできて、外出しようって方が増えている様な気はしますね。まあ、一回落ち込んだんで後は上がるだけ、のぼるだけですよね。

−コロナとの共存社会という様な流れの中で、今考えていることを教えてください。

お店としては、本当にできることを淡々とやるだけという感じかなと思っていますね。

お客さんが密集しない様に、席の数を減らしたりとか、お店のドアや窓をできるだけ開放して風通りをよくしたりとか。

商品の面では、お煎餅の物販の方で、焼いていないものをお煎餅の手焼き体験キットとして販売することを考えていますね。これからの時期バーベキューとかする方も多くなると思うので、そう言った機会に、自分でお煎餅を焼いてみるのも面白いのかなと思います。

奥深い燻香の自家製厚切りベーコンとライ麦バンズのハンバーガー

−野堀さんのイチオシの商品を教えてください。

ライ麦バンズを使った、自家製ベーコンのハンバーガーですね。このハンバーガーは日升庵のオリジナル。

バンズはライ麦を使ったちょっとハードなタイプのバンズにしています。もっちりとした食感で、結構食べ応えのあるのが特徴です。

また、ベーコンはお店で2度燻製にしています。1回目燻製したら、一晩寝かせて、また翌日燻製すると。こだわって作っているので美味しいと思います。

−おお、すごいこだわりを感じますね。お肉の部分のパティ、ハンバーグは?

ハンバーグはいろいろとこれまで試行錯誤をしてきたんです。やっぱり地元の素材を使うことを考えて、地元茨城の和牛、紫峰牛を使ってみたりしたことも。でも和牛のお肉って結構脂肪分が多くて、焼いているうちに溶け出してしまうんです。そうすると焼き上がった時には、小さくなってしまったりして、もったいないなと。

やっぱり、お肉の美味しさって赤身の部分だと思うんですよね。試作を重ねた結果、今はオージービーフの赤身の部分を使った120gというボリューム感のあるパティを使っていますね。

−なるほど!!高さもあってボリューム感のあるハンバーガー、上手に食べられるコツってありますか?

うちのお店では各テーブルにバーガー袋を用意しています。このバーガー袋を使って食べると上手に食べられます。

袋の片側をめくって折ります。しっかりと袋を開いて、バーガーをセットしたら、串を外すんです。そうしたらギュッとつぶして、ガッとかぶりついて食べると。そんな感じです(笑)

この自家製ベーコンバーガーの場合、七味が付くんです。まずひとくち目はそのまま食べていただいて。その後、お好みでこの七味をかけながら食べてもらうとより一層美味しいかなと思います。

−ハンバーガーに七味って珍しいですね!

はい、珍しいと思います。やっぱりこのハンバーガーも地元のものを使ったものにしたかったんですね。

この七味は筑波山で獲れるみかんの一種の福来みかん(ふくれみかん)が入っているんです。昔は筑波みかんと言われたみかんでして。そのみかんの香りが特徴的な七味ですね。

周りの他のお店にはない、ハンバーガーをやっているっていうことで、ちょっと変わった感じにしたかったってのもあってこんな形になっていて。自分でいうのもなんか変かもしれませんけど、本当に美味しいハンバーガーだなと、自負しているんです。ですので、筑波山にきたついでにとか、逆にハンバーガーを食べに来るついでに、筑波神社にお参りするとか、筑波山に登ってみるとか、そう言ったものになったら良いなと思いますね。是非皆さんに食べてもらいたいと思います。

茨城県の魅力を筑波山から全国に発信する場所に。

−今後の夢や目標はありますか?

そうですね、筑波山というエリアをテーマパークみたいにしたいなって思っているんです。

−テーマパークですか!?それはどう言ったことを考えているんですか。

筑波山に来る方の目的っていろいろありますよね。登山だったり、神社やお寺に参拝に来るとか、自転車でサイクリングにとか、クラフト体験とか。それぞれいろいろだと思うんです。

そう言ったいろんな体験ができる山になったら良いなって思うんですよ。それでその中のひとつでも何か自分が手掛けることができて、楽しめる山になったら良いなと思っているんです。

これから、民泊施設として、また古民家を改装したところをオープンする予定です。

−おお、では今度は是非そちらを取材させてください!

はい、是非きてください!

茨城県内最高峰の筑波山を満喫できる起点に。日升庵のこれからが楽しみ。

野堀さんにお話を聞いていると、話の端々から野堀さんの人柄の良さが感じられ、地元をアピールして良い場所、地域にしたいという思いをジンジンと感じられました。

語り口はとても柔和で優しい雰囲気ですが、そのポリシーや思いの強さはめちゃくちゃアツい方だなと思いました。

いただいたハンバーガーは、2回燻製するというベーコンの燻香がとても奥深くて、ボリューム感も満点。ちょっと食べきれないな、という場合でも、一緒に行った家族や友達と分け合って食べても良いかもしれません。ちなみに、お店ではハンバーガーは4等分までカットしてもらうことができるそうです。

また、野堀さんは近々民泊施設をオープンする予定で、日升庵から数分のところにあるということで、今後の野堀さんと日升庵の進化が楽しみな取材でした。

店舗・アクセス

カフェ 日升庵
住所:茨城県つくば市1221-3
TEL:029-875-8821
WEB:http://www.nisyouan.com/

日升庵 公式サイト

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