猫の本がいっぱい!猫本カフェ 日立市 ねこりん
猫カフェというと、猫がいて、気まぐれな猫たちを撫でたりじゃれたりしながら、猫に癒されながら楽しむカフェですよね。
しかし今回は猫「本」カフェ。全国でも数少ない猫の本だけを取り扱うブックカフェ。
お話を伺ったのは、無類の猫好きの店主 林崎 絵梨(はやしざき えり)さん。
猫に助けられたからこそ、茨城・日立から猫の幸せを伝えていきたい
ー自己紹介をお願いします。
はい、店主の林崎 絵梨(はやしざき えり)と申します。よろしくお願いします。お店の名前は「ねこりん」です。
開店したのが2018年の1月なので、創業からは2年半ほどになります。
お店は猫本カフェとして、猫の本だけをたくさん集めたブックカフェという形態です。ドリンクや軽食の提供と、猫雑貨と書籍の販売を主に行っております。
基本的には猫はいないお店です。でも毎月2日と22日のにゃん(2)の日、にゃんにゃん(22)の日には、自宅で飼っている2頭の猫を連れてきて、猫の日としてイベントとしています。
ー猫本カフェは全国でも珍しいですよね、なぜ猫の本専門のブックカフェにしようと思ったのでしょうか。
元々病気してた時に猫に救われたと思ったことがきっかけです。それで寝込んでいた時期が10年くらいあったんです。その頃、猫のためなら頑張って動けるとか、心の支えになっていた時期がありまして。いつかそんな猫に自分が恩返しをしたいと思ったんですね。自分が元気になってきたので、その夢をカタチにしたという感じですね。
病気していた間に将来は何かしたいなと漠然と考えていました。離婚して、地元茨城に帰ってきて、少しずつバイトをしながら自分の体力に自信がついてきたんです。それとともに体力の限界というものもわかってきて。
普通に働こうと思えばできなくないけれど、でも自分の体調を考えると雇われながらではなく、自営業で何かゆったりと自分のペースでやる方が向いていると思ったんです。
「すべての猫に幸せを!!」がコンセプトにしています。
猫を取り巻く環境や現状を知っていただきたいということ。猫をかわいいと思うことをきっかけに、猫のことを知ってもらえて、情報が集まるハブの様な場所にしたいと思ったんです。
コロナ禍でも猫のように、ゆったりとしたペースで乗り切った
ー新型ウイルス感染症拡大による影響とか、この間の状況はどの様な感じでしたか。
緊急事態宣言発令後は店内の飲食スペースを使用しない様にしていました。飲食物はテイクアウトだけの対応で、雑貨の販売とという感じで。
状況に応じて夕方の4時頃には店じまいなんてこともありました。
中には「テイクアウトだけなの?」と惜しい感じでいってくださる常連さんもいましたが、ご時世なのでごめんなさいという感じでお断りして。
店内でのんびりくつろいでもらうスタイルは控える様にしていました。
ー休まず営業はされていたんですね。
そうですね、コロナの騒ぎの直前、1月〜2月ごろ自分が体調を崩して入院してたんですね。退院して体調も安定しなかったのもあって、自粛期間は力を蓄える時間なのかなとか思って。お店の入り口に「店主はお店の中で休んでます。」って書いて休み休み営業してました。
ー緊急事態宣言が解除された後の対応はどうされましたか。
緊急事態宣言が解除された後は、店内の営業を再開しました。
ですが、猫の日とかのイベントは控える様にして、人が集まらない様にということには気を使いました。また、前はお店の窓に網戸がなかったんですが、網戸を入れて、出入り口を開放して、風通しを良くする様にしてます。
元々お客さんにはゆっくりとくつろいで長居してもらうのもお店の目的の一つなので、飲食物の持ち込みをOKということにしたんです。息抜きにお弁当持ってゆったりしてもらえればいいかなと。
あんまり稼ぎにならないことばかりするので、周りからは商売っけ無いね。って言われるんですけどね(笑)
猫の本で1700冊以上!?幅広いジャンルの猫本を取り扱う
ー今お店にはどのくらいの本があるんでしょうか。
現在は1700〜1800冊くらいの本があります。
ーかなりの量ですね、猫の本といっても色々ありますよね。
そうですね、猫が出てくる本ならばなんでも置いてます。猫が出てくる小説もありますし、漫画、猫の飼い方とか、猫の本の紹介の本とかもあります(笑)
最近多いのは猫のエッセイ漫画とか、写真集とかが多いですね。本当にちょっとでも猫が出てきて、私が気に入ったものはジャンル問わず置いてます。
ーこれだけの数、猫の本だけを集めるのはかなり大変ですよね。
古本屋とか、もちろん新品で購入したものもあります。
オープンの時に、寄贈していただいた本もありまして「猫の本たくさんあるから譲りますよ」って言っていただいて。すごく古くて珍しい本とかも頂きました。
この「吾輩は猫である(夏目漱石)」は初版発行昭和40年とか。すごいですよね。
ーお店の場所はなぜここに決めたんですか。
知り合いの方に小木津駅前にテナント募集って出てるよって聞いたのがきっかけですね。本当に小木津駅の山側の西口出て50歩くらいで、アクセスも立地も良かったので。
でも建物自体は築60年以上ってことで、かなりボロボロだったんです。家族に手伝ってもらって改装したんです。母方の叔父が木工や電気、水道工事ができるので、教わりながら一緒に作っていきました。
私が頑張ったのは壁塗りですね。珪藻土塗りにしたんですが左官屋さんみたいにコテで塗って。大変でした(笑)やってる途中、ペンキにしておけば良かったと何度も思いました。
元々は天井板もあったんですが、ボロボロだったので外してみたら、雰囲気のいい梁がでてきて「これは見せた方がいいよね」ってことになって。出てきた電気の配線なんかもそのまま見せる様にして、レトロな雰囲気になる様にしています。
ーだからなんだかいい感じなんですかね。お客さんの反応はどうですか?
猫好きにはたまらない空間だよね。って良く言われますね。猫をきっかけに人が集まって来てくれて、そう言っていただけるとやっぱり嬉しいですよね
畳のある和室に座椅子という雰囲気が、おばあちゃんの家にきたみたいとか、友達のうちに来たみたいとか、評判いいですね。最近は和室を作らないお宅も多いじゃないですか。中にはお昼寝していく方もいらっしゃいます。
また、赤ちゃんとか小さいお子さんがゴロゴロしてても、ケガしにくいので、お母さん達にも評判いいです。
ー猫本「カフェ」ってことで、メニューはどんなものを揃えていますか。
メインは、ドリンク類ですね。コーヒー、紅茶。ソフトドリンクは、オレンジジュース、コーラ、ジンジャエール、メロンソーダがあります。
フードメニューは、フレンチトーストとカレーがあります。
猫本カフェ「ねこりん」を拠点に、猫の課題を広く知ってもらえる様に
ーこれから取り組みたいこと、知らせたいことはありますか。
お店を始めた理由にも繋がるのですが。今、猫を取り巻く課題が色々とあるんですね。
動物愛護の話をしても、嫌いだとか、難しいとか、興味ないって言われてしまうんです。でも猫が可愛いということをきっかけに猫のことを知っていただきたいんです。
そのために、飲食と雑貨の販売をしていて、お店に足を運んでいただくきっかけのためのカフェ、雑貨販売という感じですね。
ー具体的にその内容はどんなことでしょうか。
私は啓発活動が主で、適正飼養と不妊去勢の徹底というテーマがメインにしています。
あまり良く知られてないですが、猫って繁殖能力が高い動物なんです。一匹のメス猫が生まれて半年くらいで親になることができて、年に2〜3回発情期が来て、交尾すると必ず妊娠するっていう動物なんです。
なのですぐに殖えてしまって1年間で79匹にまでなってしまう、っていう資料があったりして。そうなるとあっという間に飼いきれなくなって、多頭飼育崩壊って言われる状況になるんです。そう言ったことを防ぎたい。
また死ぬためだけに生まれる命を無くしたいってことですね。殺処分されるのは殆どが生まれて間もない子猫なんです。
ですので、頭数が少ない間に、不妊去勢をきちんとして、室内で飼いましょうねと。
室内で飼うことによって、事故にあわない、病気になりにくい、他のお宅に迷惑をかけない、と言ったことを、お話しています。
こういった動物愛護のことを知らない方でも、これだけたくさんの猫の本があれば、知っていただくきっかけにもなりますし、少しでも興味を持ってもらえればと思います。
お店としては、店内は和室のゆったりとした空間になっていますので、ゆっくりくつろいでいただいて。猫が苦手という方でも普段は猫はいませんし、気軽にお茶飲みにくる感覚でいらしていただければと思います。
猫が可愛い!をきっかけに、のんびりとした空間から伝えていく
林崎さんの猫への恩返しをしたい、猫への愛がお店として結実させたのが「ねこりん」というお店なのだなと話を伺っていて感じました。
ペットとして猫を飼っている方も改めてこの記事をきっかけに猫が取り巻く課題を考えてみてもいいのかもしれませんね。
ねこりんというお店は、所狭しと猫に関する書籍、グッズが置いてあって、林崎さんが趣味で買い集めたグッズも展示してあったりと、お話の通り猫好きにはたまらない空間だと思う。猫の本、猫の雑貨に囲まれて、風情のある和室で、忙しさを忘れてのんびりとする時間は、ある意味最高に贅沢な時間かもしれませんね。
是非お店に足を運んでみてはいかがでしょうか。
店舗アクセス
猫本カフェ ねこりん
住所:茨城県日立市日高町1-28-15
TEL:0294-87-8881
WEB:https://necolin.com/