久慈浜しらすを茨城から世界に。安心で美味しいお魚を広めたい。茨城県日立市 小松水産株式会社

日立市久慈浜の「美味しい」を茨城から世界に発信する、小松水産株式会社

茨城県日立市の南側、久慈川の河口近くの久慈漁港。このすぐ近くに、しらすや干物などを生産する水産加工会社、小松水産株式会社はある。

今回お話を伺ったのは、小松水産株式会社の代表取締役 小松 伸克(こまつ のぶかつ)さん。商品については営業部の石橋 実樹(いしばし みき)さんに詳しく伺った。

(取材は新型ウイルス感染症、感染拡大予防に十分留意した上で行いました。)

地元久慈浜と共に歩んできた80年。

−会社とご自身の自己紹介をお願いします。

はい、小松水産株式会社と申します、私は代表取締役の小松 伸克(こまつ のぶかつ)と申します。私で、三代目になりますね。

−三代目なんですね、これまでの歴史を伺えますか。

創業は祖父の時代からです。1940年の創業で、ちょうど80周年を迎えました。
創業当時、祖父の頃はイワシとか煮干しとかを取り扱ってました。サンマなんかも水揚げがあったので、サンマの干物、みりん干しなども作ってました。
そのあと、私の父が事業を拡大して、さんまの蒲焼が流行っていた時期があって。それに合わせて自社でも何かできないかということで、イカを蒲焼にできないかということになりました。父が熱心に研究して、商品開発をした結果、県知事賞とか、水産長官賞、また久慈浜の加工組合で初めての農林水産大臣賞を頂く様な商品になったんです。昭和58年(1983年)に賞をいただきました。これはいまでも「いかかば」として当社の看板商品ですね。

今から24,25年くらい前、茨城ではしらす、イワシの稚魚が豊漁だったんです。でも我々のような加工業者が少なかったり、設備が不十分だったりして、せっかく漁獲があってもお客様に届けるための

加工ができず、多くを捨てていたんです。

なんとかできないか、ということから、漁師さんや漁協さん、周囲の方々のすすめもあって、しらすの加工をすることになったんですね。私が大学を卒業して、関西の方の会社で修行をしてました。地元に帰ってくる頃、2007年ごろからですかね、久慈浜で上がるしらすを本格的にやり始めたんです。そんなタイミングだったんで、鮮明に覚えてますね。

今では、久慈浜のしらすをしっかりとブランディングをしよう、ということで、直販もしつつ、スーパーさんなどの量販店さんへの卸もしながら、茨城の美味しいしらすを地元から全国、さらには世界へと、ご紹介するということをしています。

−世界にですか!しらすと干物を中心に、魚介の加工をされているんですね。

はい、そうですね、現在はしらすを専門に加工する工場と、干物やイカの蒲焼を作る工場、この二つの工場があります。この工場でそれぞれ、小松水産のブランドとして、しらす、サンマのみりんぼしやいかかば、干物などを生産加工しています。工場は衛生管理の面で世界基準のISO22000を取得しております。

あと国外ではタイ、ベトナムに工場がありまして、そちらでもしらすや海産物の加工を行っています。

コロナ禍があったから、改めて気付いた大切なこと。

−新型ウイルス感染症による影響はどんなことがありましたか

やっぱり、全く影響がないという訳ではなかったですね。弊社では国内向けもそうですが、国外への輸出の事業も行っています。その商品の主な輸出先というのは、タイ、ベトナム、アメリカなどです。
これらの国は今回の感染症の感染拡大で、ロックダウンをしたり、厳しい外出制限があったりしましたよね。その結果、日本からの輸出もストップしてしまって、我々の輸出の業務というのも完全にストップしてしまいましたね。

−国外向けはそうですよね、その他の面では何かありますか

自粛要請が出ているって言っても食べることを自粛と言う訳には行かないですし、誰もお腹は減りますよね。外食は制限がされましたけど、スーパーなどへの部分では少し好調だったのかなと思います。しらすは冷蔵庫に入れておけば数日は日持ちもしますし、お留守番のお子様でもご飯にのせてすぐに食べたりすることができますので。そう言ったところで引き合いがあったかなと思いますね。

我々の得意だった、学校給食や事業者さん向けの給食などをされているところへの卸もあったんです。こう言ったところは品質良いもの、安心安全、健康に良いものと言った物を求めてらっしゃったんですが、学校も企業も自粛要請の影響で我々にも余波がきていると言うところですね。

−なるほど。自粛要請や緊急事態宣言の間、会社としてはどんな対応をされていましたか?

ニュースなどで世の中のことを見聞きしていて、やっぱり何かしら手を打たないといけないなと考えていました。

その中で、一部テレワークも実施して、自宅でできる業務は自宅でやろうとかですね。

あとは出勤者の中でも、それまでは休憩時間を一緒にとっていたところを、昼食を食べるのも食堂に集まってではなく各個人の好きなスペースで食べて良いことにしたり、休憩時間をずらしたり、出勤する人数を制限したりなど、対応をしましたね。
我々のできることで、感染者を出すことがない様に考えて、そう言った動き、対応に取り組みました。

緊急事態宣言が解除された現在でも、継続的に対策をした上で、商品の加工や業務に当たっています。

−緊急事態宣言が解除されましたが、その後の変化などはありますか?

よく考えてみると、今回のコロナの騒ぎである意味では、色んなことを気づかされたのかなと思うことがあるんです。

私だと月に1〜2回ほど海外出張があったんですが、それも今は全くなくなってしまいましたし。営業チームも毎週の様に首都圏のお客様の所に、セールスのために週の半分くらいは実際に出かけて行ってました。そう言ったこともない。
こう言った状況の中で、今の世の中にある技術を利用して、リモートやオンライン会議などを活用すれば、いろんな形で対応ができるんだなということがわかりました。

実は今こんな世の中に対して、我々小松水産としてできることはないかなと考えていたんです。このコロナウイルスとの戦いということもありましたけど、目に見えないウイルスや菌の数を極限まで抑えた商品作り、しらす作りができないか、と考えまして。これは近々売り出す予定なんです。
もちろん安心安全が第一ですから、薬品などを使わず、我々の持つ技術を最大限活用して、菌数を抑えた商品作りをしようと、今まさに研究開発に取り組んでいるところです。「本気のしらす」として今後スーパーさんに納品して大々的に取り上げてもらって売っていこうと考えています。

我々としてこれからは、もちろん食べ物ですから美味しいのは当たり前、当然のことですけど、安心安全の商品ということもオプションとしてお届けしていく、というとこへ向かっています。

日立市久慈浜産、ブランドしらす「久慈浜しらす」

−いちばんのおすすめの商品を教えてください。

石橋さん)はい、全量この日立の久慈浜で上がったしらすの「久慈浜しらす」がオススメです。

久慈浜しらすは産地ブランドとして立ち上げたものでして、東日本大震災以前に始まりました。商標登録もしてあり、久慈浜の漁業関係の方、加工会社の方だけが使えるブランドということになっています。

−ひとくちに「しらす」と言っても色々とありますよね。

そうですね、しらすは水揚げされてから加工の方法によって、釜揚げしらす、しらす、ちりめんがあります。弊社ではこの3種類がありますね。
釜揚げしらすからちりめんにいくほど、水分量が少なくなっていくんです。

やっぱり旬の時期の初夏から夏にかけては、釜揚げしらすがいちばん美味しいと思いますね。フワッとしていて、しらすの魚の旨味もしっかりと楽しむことができるので、旬の時期に限って言えば、釜揚げしらすが本当にオススメですね。

しらすやちりめんは、釜揚げしらすに比べて乾燥してあって、水分量が少ない分、ギュッと旨味が凝縮しているんですね。なので料理や食べ方に合わせて、しらすやちりめんを使い分けて頂けると、より美味しく召し上がって頂けると思います。

−しらすを加工する上でのこだわりのポイントはありますか?

いちばん大事なことって、生の状態の鮮度管理なんだと思います。その部分については、漁師さんたちも気を配ってくれているところです。
他県の場合だと2艘の船で網で囲い込んで獲るんですが、茨城の場合は、1艘の船で漁をする様になっています。魚群に対してぐるっと網を落として一気に引き揚げるんです。そうすることで、船に上がってきても、生きたまま揚げられますし、すぐに氷でシメることができるので、鮮度の良い状態で届くんです。

そのあとは弊社での仕事になりますが、釜茹での方法や乾燥のかけ方など、そう言ったところももちろんこだわっています。でもやはりいちばんは良い状態の魚、原料があることが美味しさのポイントなのかなと思います。

弊社のミッションとして、「食卓に笑顔を届ける」ということがあるんですが、笑顔を届けるということで何より大事なことって、安心安全であることだと思うんです。美味しいのは当たり前ですけど、やっぱり安心安全が必要だと思うんですね。

そう言った安心安全のために、異物の除去にはかなり気を使っています。
しらすを加工する中で5段階の異物除去の工程がありまして、

  1. 茹で工程でのしらす以外の魚の除去
  2. 乾燥工程後に磁石を使った異物の除去(釣り針など)
  3. 静電気での異物除去
  4. 画像解析を使った異物除去
  5. 人による目視での選別

という5つの工程を加工の途中途中で行って、安心安全のしらすをお届けできる様に加工をしております。

−それは本当に安心ですね。この自慢の商品、しらすですがどちらで購入できますか?

小松社長)当社の直販店で取り扱っています。また現在、弊社のホームページのリニューアルを行っておりまして、近々公開になる予定ですが、そちらでもご購入いただける様になる予定です。

また、地域のスーパーさんや量販店さんへも納めさせていただいております。なかなか小松水産のしらすだということは、わかりにくいかもしれませんが、「茨城県産しらす」とか「茨城県産釜揚げしらす」という表記で出ているかと思いますので、是非見かけたら試していただきたいと思います。

茨城県日立市から世界に向けて、日本の美味しさを発信していきたい。

−これからの夢や目標はありますか?

そうですね、私が社長に就任してから、東日本大震災があったり、今回の感染症のことがあったり、時代の流れが目まぐるしいですよね。

自分も、2010年ごろ、震災の前くらいまではどんどん売って売り上げ伸ばすぞ!と意気込んでいたんです。

とは言え、最近、いろんなことを考える機会が多いなと思うんですね。やはり、この地元茨城、久慈浜の良い素材を、我々が持っている最高の技術で、食卓に笑顔と一緒に届けていこうと。そう言ったことがミッションかなと思うんですね。
なので、この久慈浜の海を愛して、漁師さん達と一緒に成長していきたいなと思うんですね。

日本全国、南は沖縄、北は札幌まで納めさせていただいていて、全国に久慈浜や茨城の良さというのを発信しているんです。それと同時に世界にも合わせて発信していくことをさらに伸ばしていけるかなと。
日本の人はもちろん日本で生活しているわけで当たり前ですよね。でも、我々タイ、ベトナムに拠点がありまして、現地にいくと、日本の商品の味の繊細さだったり、出汁文化だったり、いろんな面で驚きがあるんです。こう言ったところに、素材を大切にする技術や、日本、茨城の良さを伝えていきたいと思っているんですね。

こう言ったことができるのはやはり、我々の仕事なのかなと思っています。

安心安全なお魚で茨城県日立市から全国、世界へ

お二人のお話を聞いて、とにかく安心安全、食卓に笑顔を届ける。と言ったことに終始していた様に思う。

手間のかかる仕事をしっかりと手を抜かずにしていて、とても大変だなと思う反面、そのおかげで安心安全で、美味しいしらすが食べられる。

これからも茨城県の代表として国内だけでなく、世界の各地へ茨城、日本の美味しさを広げていってもらえたら嬉しいなと思った。

店舗・アクセス

小松水産株式会社 / しらすパーク
住所:茨城県日立市留町2111-1
TEL:0294-53-6669
WEB:http://www.shirasu.com/

小松水産株式会社 公式サイト

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